製薬シリーズ3回目にして最終回。製薬業界が考えているマーケティング戦略について、大塚さんにお話しいただきました。
講師
大塚英文さん
当日の様子


メモ
マーケティングとは
コトラー『マーケティングコンセプト』
- 充足されてないニーズ
- 潜在的な収益性 などなど…
⇒「将来の売上/利益を作るための、売れる仕組みづくり」
戦略とは
- 「何をしないか」を決めることが、戦略
⇒何を捨てるのか、我慢するのか。
⇒営業は局地戦で戦おうとしがち。
←マーケティング担当とぶつかりやすい(対局をみる) - 理想のマーケティング=販売を不要にする。
- 戦術は柔軟、戦略は明確な前提と目標を元に固定的
⇒「どこを見るのか」という着眼点が重要=「どんな薬を作るのか」が重要。
薬の開発フロー
- 候補物資の探索
- 非臨床試験(対動物)
⇒ここがターニングポイント - 臨床試験(対人)
Phase1~安全性の担保
Phase2~投与量の担保
Phase3~有効性 - 販売(上市)
新薬開発の成功率
32万の化合物から、承認が取れるものは80。
上記1の合成⇒非臨床で1/1000になるなどなど…
⇒1つの新薬に、27の試験が存在。
⇒非臨床試験で結果が出た時点で、初めてマーケティング開始。
開発とマーケのギャップ
- 開発は、新薬の承認を得ることが一番重要
- マーケティングは、承認後に売上を上げることが一番重要
⇒薬が売れる場合、製薬メーカーの営業が医師にプレゼンするよりも、影響力がある医師が他の医師に紹介することが重要
薬価
- 薬の価格は2年おきに「値下げ」される。
- 当局はあらゆる手段を用いて薬価を下げようとする。
⇒上市時に当局にいかに薬価を「高く」設定出来るかが最重要 - 薬価確定は新規性や希少性といった「イノベーション」がポイント
- 以前は「薬価差」が存在していて病院が潤っていた
⇒今はそれが行いづらくなっており病院が儲からなくなってきた。
薬のゴール
患者の病気が治ること。じゃあ製薬会社はどこまで考えている?
⇒看護師くらいまでが限界。
←患者(一般)に対しては「病気の啓発」を行う。
処方薬と一般薬
10倍の市場規模(7~8兆と7,000億?)。国は一般薬の方が売れて欲しい=予防医療のウェイト
⇒処方薬へは国が負担。一般薬は国の負担はない。
製薬会社の今後
- ベンチャーや研究機関の新薬を製薬メーカーが買い上げるという構図になるのでは。
- 製薬会社はファイナンスだけあればいい
- CROが総合商社的になりつつある
- 不経済なシステム(人件費がかかりすぎている)
- 製薬会社は新たな市場を作り出しにくくなっている。
製薬業界もブルーオーシャンを見つけないとヤバい。
開発に関する現状と今後
とある薬が凄く良い製品だったのに、既存薬と比較されてしまい、薬価が低くなってしまった。なぜそういう事が起きる?
⇒マーケ的判断を開発時に行われなかった。
⇒今後は「目利き=薬の事業性評価」が重要になってくる。
優秀な研究機関とのコネクション(人間関係)第一。
感想・コメント

想像と現実のギャップを理解した。人間関係大事。

製薬会社の利益構造(薬価システム)の複雑さ。

GNP(義理人情プレゼン)は一緒。

人の役に立つ、夢がある製薬はできる!

Confidentialな情報がDeepだった。

薬の未来が暗いということにショック。MSが薄給とは…
2011年9月7日 於:カフェ・ミヤマ 渋谷駅東口駅前店