個人が意識的に学ぼうとしないと身に着けられない「金融リテラシー」。証券会社で活躍されている西川さんに、金融リテラシーの基礎について詳しくお話いただきました。
講師
西川芳和さん
当日の様子


メモ
金融リテラシーの必要性
- 日本人は全然金融のことを分かっていない。
⇒言われたままに従う。
⇒金融機関はそれに生じて手数料を荒稼ぎする。
←売る方も悪いが、買う方も悪いのでは? ⇒リテラシーのベースアップが重要 - これからの必須知識は、英語/IT/金融リテラシー
- ユニクロも金融で稼いでいる(ある国で安く手に入れ、ある国で高く売ることで、利ざやを稼ぐ
- 人生の三大支出(住宅、教育、老後)も全てお金に絡む話。なぜ自ら学ばない?
- 「お金の話ばかりしてていやらしい」という意見は、学んでないスタンスの言い訳。
- 金融庁の調査~将来のお金について不安を抱いているのは90%、だが、80%は何もしていない
- 日本人は死ぬときに一番お金持ち。
- 1990年代は何をしなくてもお金は増えた=リテラシーは不要だった。今は自ら主体的に金融知識を学ばなくてはならない時代。
金融リテラシーの基本
パーセンテージに惑わされず、実際の金額を勘定して考える必要がある(金額重視主義)。
インフレ
- 人が増えて物が減る→物の価値が上がる→インフレになる。
- インフレになると国債を踏み倒せる。
⇒お金を増やす→資産が膨れる
→負債=借金のボリュームは相対的に小さくなる(今の1,000兆円は相対的に目減りする)。 - 過去、膨大な借金をちゃんと返せた国は存在しない(ハイパーインフレ=借金自体の価値がなくなる)。ナポレオンも、ワイマール共和国も。
- インフレになると、「物を持っている人」の価値が高まる。
⇒お金「しか持っていない」人は大変。
←インフレになるなら、お金についてちゃんと知識をつけておかないと大変なことになるかも。
国債
- リスクの低さは、国債>銀行。
- 銀行は国が破綻する他に、銀行自身が破綻する可能性がある。
- 銀行の10年金利~0.15%
- 国の10年国債~1%
⇒銀行は国債で回している=差分0.85%は銀行の儲け。 - 国債の利率はリスクの基準値
⇒1%を超える金利=何がしかのリスクがある。
⇒1%未満の金利=どこかが儲けている。 - 日本国債がリスクの基準となる。
- 国債をたくさん発行すると、負債も増えるが資産全体も増えるため、B/S自体が膨れるだけ(日本が潰れることはない?)
⇒ギリシアのように、国債が外貨建てで買われていた場合、総体とした資産が目減りするため、破綻する。
←日本国債は国内で買われているボリュームが大きいため、ギリシアの二の舞になるリスクは低いと考えられる。 - 日本が破綻した場合、ハイパーインフレになる(ロシアやアルゼンチンが過去例)。
⇒円安になる=輸出企業が儲かる
⇒経済が復活する。 - 悲観に走る必要はない、ただし、危機感はもつことは重要。
期待値
- 確率で考えると、麻雀パチンコは良い(?)ギャンブル。宝くじは期待値が低い。
- 本当に良い金融商品商品=説明しづらい=売りづらい&大体において天井を付いている=負ける。
- 毎月分配型のファンドで金利25%とか本当にありえない(日本国債が基準→25倍)
→売りやすいように最初は配当金を払いまくっているケースがある。 - 分配型→税金がかかっていることがある=税金リスクを隠している。
- 普通に出会う金融機関の方は「販売のプロ」であり、運用のプロ(澤上さんのような方)は本当に一握りしかいない
⇒自分で金融について考えないとならない。
外貨預金より外貨MMF
- 外貨預金は銀行が潰れるリスクはあるが、外貨MMF(証券会社が運営する外貨預金)は信用リスクがない=証券会社が潰れても預けたものは保証される
⇒外貨預金よりも外貨MMFのほうがメリットが大きい。 - 海外の金融機関で運用して利益がでたとしても、(現地ではかからないが)日本では雑所得として50%課税がかかる。
- 100万を超える送金は国税局はしっかりみていて、当局から追跡される。
保険
- 日本人の97%が加入している、ただの金融商品。
- 保険は「死ねば儲かる」ギャンブル。やりすぎないことが重要。
- 保険の期待値は40%⇒60%は保険会社の利益である。
- 人が死ぬ/病気になるリスクを調整することで価値を変えてる。真贋入り乱れた金融商品。
- 保険の基本は死亡保障。
- 死亡保障~会社に属している限り、会社が保障してくれる保障は実は大きい。
- 医療保障~日本は公的な健康保険制度がとても充実している=高額医療(10万以上)は国が出してくれる制度
→医療保険は最低限で充分では?(また、事前申請すれば窓口で差額だけ払えばよかったりする。つまり手元に現金がなくても大丈夫)。 - 生存保障(貯蓄性保障)~今の低金利で固定されるため、今はいるのはもったいなさすぎる。
不動産
- 不動産の利回り試算はだいたい1.1%なのに、不動産価値は完成してから下がる一方。
- 購入メリットは、不動産価値が高まっていない限り、支払った額以上の価値にはならない⇒利回り1%だけど元本価値が下がる金融商品はどうなんだろう?
- ただし、不動産のメリットは税制が結構優遇されている。
⇒住宅ローン控除~(働いていれば)10年くらいは金利を一部返還
⇒相続税評価~現金よりも低い価値として相続時に見積もってくれるので、相続時のメリットは大きい。
まとめ
- 人に責任をなすりつけるのではなく、「自分の学びが足りなかった」という思考に。
- 大きく儲ける方は最初にたいてい損している。
感想・コメント

金融商品の種類についてっとてもためになりました。

金融商品は営業マンが言うことや広告を鵜呑みにしてはダメ。
ヒヤっとさせられた話としては不動産、医療保険に関すること。

生命保険の話が自分の知識不足で理解出来なかったので、もう少し聞きたいと思いました。

各所得によって税制が違うので、それを使った節税とか聞いてみたいです。

甲乙つけがたいですが、インフレについて掘り下げた話が1番面白かったと感じました。

日本国債の話、72の法則、海外送金、保険、不動産についてためになりました。
2011年11月7日 於:カフェミヤマ 渋谷駅東口駅前店