「バイオベンチャー業界の今を知る。」勉強会レポート

講師の沢井悠さん

ミドリムシによるバイオ燃料、人工臓器、放射能を食べる(吸収する)バクテリアなど夢のある科学的アイディアと研究で脚光を浴びるバイオテクノロジー/ビジネス。今回はバイオベンチャーのおよそ8割を占めるといわれる創薬ベンチャーの話題を中心に、株式会社ジナリス(現:株式会社サイキンソー)の沢井 悠さんにお話いただきました。
KnowledgeCommonsの参加は2回目とのこと。1回目は参加者として、2回目でなんとKC講師デビューとなりました! 無茶ぶりに応じていただき本当にありがとうございました!

世の中にバリューを届けたい熱い想いとリスクのあいだで…

創薬ベンチャーのビジネスモデルは、画期的新薬を開発し、「一発当てる」スタイル。製品を完成させるための期間は5〜10年、通常1億〜100億と、多大な投資が必要になります。せっかく資本金をあつめて研究をスタートさせても利益が出るに至らず、赤字企業が多いのも実情です。10億、20億の赤字、なんていうベンチャーもあります。開発が頓挫したら当然プロジェクトも終わり、です。
「夢の大きさ」と「責任の重さ」が正比例するビジネス、これがバイオベンチャーの実情のようです。

 

バイオベンチャーの歴史的背景

なぜ、バイオベンチャーがこれだけ脚光を浴びるようになったのか。その歴史的背景から3つのポイントをわかりやすくご紹介くださいました。日本では「バイオベンチャー」と呼ぶのが一般的ですが、海外では「Biotech」と呼ぶそうですよ!

 

1. 製薬企業の基礎研究、臨床開発機能のアウトソースがビジネスチャンスに

薬の開発すべてを自社でまかなうのは時間的にも資金的にも難しくなりつつあります。なかでも基礎研究や臨床開発機能を外部に頼ろうとする動きがバイオベンチャーにとってのビジネスチャンスになっています。

 

2. 進化しつづけるバイオテクノロジー

1985年にMullisによってDNAの増幅法であるPCR法(polymerase chain reaction)が開発され、生命の設計図”DNA”を人工的に合成できるようになりました。これが転帰になっているとのこと。加えて「ゲノム(1個体全部のDNA情報のこと)解析」にはIT・情報処理技術の進歩が大きく貢献しているそうです。

 

3.実験手法の共通化・効率化

日々行われている実験手法の共通化・効率化が可能に。たとえば以前は50年かかっていたことが5年で可能になるレベルになっているそうです。このスピード感、すごいですね!

 

4.ベンチャー・キャピタルからの投資(シリコンバレー*の成長)

優良バイオベンチャーにとって適切なリスクマネーの供給は生命線。バイオベンチャーの台頭により、多くのテック系ベンチャー・キャピタルが投資するようになりました。

*:米では多くのバイオベンチャーがカリフォルニア近辺に立地

 

バイオベンチャーのこれから

「個別化医療/予防」の話をしてくださいました。

病気に対する薬をつくって売るという、従来型の手法は今後なくなっていくでしょう、と沢井さん。それを予感させるひとつのケースがゲノム解析コスト。10年前は人ひとりのゲノム解析を行うのに10億円程度のコストがかかりましたが、いまでは100万円以内でできるように。ムーアの法則ですね。予防のために遺伝子解析を受けてもいいかな、と思うようにもなります。

最近のニュースでは、アンジェリーナ・ジョリーさんの「将来の乳がん予防のための乳房切除」が論議を呼びました。乳がんと卵巣がんにかかる可能性が高い遺伝子異常を持っていることがわかったためです。ただこれは熱がでたらアスピリン、のようにすべての人に概ね正しい選択とはならず、そこが難しいところです。今後、慎重な議論と個人レベルでの適切な判断が必要になると思います。本人のみならず家族にも大きく影響しますのでね。

 

健康管理は自己責任の時代へ

さいごに、ファイナンシャルプランニングやライフプランニングなどと同様に、今後は「健康プランニング」がテーマになる! 実現に向けて、個別化医療や予防の研究開発に針路をとるベンチャーが増えるはず! と、展望を語ってくださいました。

沢井さんのプレゼン資料はSlideShareにアップされています。ぜひご一読ください。

2014/02/21
於:株式会社スポルツ様MTGスペース
講師:沢井 悠さん

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