「価値」の言語化について考える。

「価値」の言語化について考える。

小室です。最近、サービス「改善」のご相談を受けることが特に増えました。

が、サービスデザインの時点でご相談いただければ「こういう状況」にはならなかったよなぁ、という状況が散見されますが、まだまだ私が「サービスデザインの段階から相談できる」と認識いただけれないのが要因なので、無問題。

すくなくとも私の友人知人にはサービスで失敗してほしくないし何なら成功してもらいたい、そのための支援は惜しまぬぞ、ということで、今年はブログ頑張ることにしました。しばらくHCD(UXデザイン)の気づきを書き連ねてまいります。

まずは「価値」のおはなし。

 

UNIQLOのヒートテックのWebはUXデザイン的にすごい。

ちなみに冒頭の「状況」がどんな状況かというと、サービスの「価値」の定義(言語化)がざっくりすぎる・曖昧・抽象的なため、「刺さる相手が誰かわからない」という状況です。

この「価値の定義」については、私を始めAIITでHCDを叩き込まれてきた訓練生やUXデザインを体得している人(UI/UXと言わない人?w)にとってはどういうことか理解できると思うのですが、HCDで言うところの「(サービス事業者側が考える)提供価値」と「(受益者=ユーザーが得たがっている)体験価値」の定義付け、言語化、仕分け、です。

残念な例は枚挙にいとまがないので割愛しますが、良い例として最近見つけたのはUNIQLOの「ヒートテック」でしょうか。

サイト上では次のように

  • 薄い
  • 温かい
  • 着ぶくれしない

といった価値を発信しています。これらは「作り手」として「これがこの製品の特長です」という「提供価値」になります。

 

一方で、「消費者・ユーザー」がヒートテックをどう受け止めているかというと、

  • つけ心地が良い
  • 見た目もスッキリ

といった点「も」評価されているようで(All Aboutの記事参照)、これらが「体験価値」。

つまり、UNIQLOが訴求している点はあくまで「メリット」であり、メーカー側が「こういう点が特長ですよー」と言っているにすぎないのです。それに対してユーザーは、そのメリットを踏まえた上で、「違う点」に価値を感じていると。

言い換えると、「温かい」から買うのなら別にインナーじゃなくともカナダグースみたいな防寒具で充分で、「薄くて温かい」から買うのであれば他のものでも良いはずです。そうではなくて「つけ心地」や「スッキリ」という点が「冬場で着ぶくれしがちな時期でも、インナーが薄手なのでモコモコしないで着飾れる」という価値をユーザーは良しと判断し、買われているわけです。

ここまで見据えて言語化できているサービスばかりか、というと、実情はそうもいかないわけで。

UX屋として「UNIQLOやっぱりすごい会社だなぁ」と思う点は、上記のようなことはUXリサーチかなにかでとうの昔に把握済で、伝え方において、いちいち言語化せずに、グラフィックで訴求すべきと判断して、こういうファーストビューにしていると思われる点です。

いちいち「私達の製品は冬でもスタイリッシュに着こなしができるためのインナーなのです」と、言語化しないでも、このように視覚に訴えれば充分、という判断をCD(クリエイティブディレクター)はしたんでしょうね。グラフィックってこう使うべきだよな、というお手本をみた気分です。さすがUNIQLO、最近UXデザインに力入れているM社さんのお仕事でしょうか?

UNIQLOのヒートテックの場合は、これまでに積み重ねてきた文脈があるので、その文脈が充分に語ってくれるはず、という判断もあったとは思いますけど、それすら活用する気概を感じます。

 

価値を分類するための訓練方法は?

ここまで計算せずとも、少なくとも「提供側として何を価値として考えているか」と、「ユーザーは何を得たがっているのか」を、それぞれきっちり分けて考えられるようになるのは、そこそこ訓練が必要なのかもしれません。

では、そういう訓練はどこでどう積めば良いのか?

答えは「日常」にあると考えています。「これは提供価値」「これは体験価値」という仕分けを、日々触れる情報に対して行っていくと、だんだんと「解像度」がどれくらいであるべきか、が見えてくる。そういう積み重ねが無いと、いきなり言語化白と言われても難しいですよね。野球でいう素振りを毎日することが重要だと、少なくとも私は考えています。

ちなみに、その素振りの時に、頭の片隅に置いておくべきは、以下の違いです。

提供価値と体験価値・メリットとベネフィット

メリットとベネフィットは違う、この表現はどちらだろう?というメタな認識・整理です。

「ユーザー目線で」と口にする会社は多いですが、「ユーザー目線ってどう持てばいいの?」まで言及しているところは少ないです。じゃあどうするか?「この表現は提供価値?それとも体験価値?」という認識・整理ができるようになること、が、ユーザー目線を持つことでは?と、最近考えています。

 

一時期「UXライティング」という表現をtwitter上で見かけましたが、UXにおいて価値の定義の仕方はとてもとても重要で、用語一つで価値が伝わらなかったりすることがよくあるため、この表現は言い得て妙だなあと思います。

言葉、大事。

 

ちなみに、メリットとベネフィットを分けて考えられるようになるのは、UXデザイン以外にも、とくにセールスコミュニケーション上めちゃくちゃ優位になれます。そのあたりはぜひ、SPINを学んで見てください。超オススメ。

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