「”防犯”を学び、個人として、企業として、備える。」勉強会レポート

「”防犯”を学び、個人として、企業として、備える。」勉強会レポート

「お子さんいます?」「スマホ使っています?」の問いかけから始まった、ナレッジコモンズ『防犯』の回。

年末進行や忘年会でみなさん忙しいであろう12月初旬、一番集客効率が悪い時期に企画し、おそらく過去最低の集客率になってしまった回でしたが、防犯ジャーナリスト兼防犯設備士でもある、株式会社Molyの代表取締役 河合成樹さんにご登壇いただきました。

当日は、河合さんの引き出しの多さと、参加いただいた方々の豊富な知識+質問スキルによって、70数回のナレコモのなかでも屈指の盛り上がりでした。

ちなみに、集客の苦戦については、終わってみるとじつは理由は明白でした。最後のまとめで触れますね(読ませるテクニックあるある)。それではじっくりお読み下さい。

 

河合さんが「防犯」をビジネスとして取り組みはじめたきっかけ。

河合さん、元々iモードビジネスやデジタルコンテンツの会社を経営していたけれど、娘が生まれた時、「自分が社会に貢献できるために何ができているか?」「この娘が大きくなった時、果たして安全な社会だろうか?」を自問し、防犯のサービスに携わろうと思い至ったそうです。

ちなみに息子さんもいらっしゃるそうですが、息子さんが生まれた時はそこまで思わなかったそう(苦笑)。ただ、防犯の業界に身をおきだしてからは、「息子のためにも安全な社会作りが必要だ」と強く思うようになったそうです。それは、男の子も犯罪被害者になるケースを多々みてきたからだそうです。。

 

防犯メディア「Moly」とは?

Molyは「あらゆる防犯の入り口」を目指す、防犯ポータルサイトです。

Moly.jp

テロから身を守る方法まで記事を用意しているとのこと。ウェブマーケティングな話ですが、「防犯」というキーワードは、検索ボリュームとしてはたったの7,000回/月だそうです。 それはつまり、「防犯という世界に明確な”入り口””がない」状態とも言えます。

例えば、
・人によっては「空き巣」を防ぎたい
・またある人は「痴漢」が嫌だ
・別の人は「個人情報が漏れる」ことを恐れていたり
と、「防犯」というひろい分野の中で、個別具体的に課題がある状態だ、というのが河合さんの分析(「教育」というマジックワードに似ているなぁ、と思いました) 。

そんな超ロングテールな市場で、幅広く「防犯を学べる場」がネット上で見つけられなかった、ならば自分たちで作ろう、と思い至って、Moly.jpが立ち上がったそうです。それが今や月間120万pv。つまりどれだけ幅広く防犯関連のテーマを扱っていることが、この数値からも伺えますね。

よく読まれる記事は、例えば「有名位置情報ゲームはリスクが高い」「某人気アミューズメントパークは盗撮犯にとっても夢の国」といった、エッジの立った「一般的には知られていないけれどMolyとしてさまざまな調査を深めていった結果わかった事実」を公開しているそうです。 いまでは、県警の生活安全部の部長とかも日々見ているとのこと。

Moly.jp、それだけ有用な情報がたくさんある、ということかもしれませんね。

 

一般的には「防犯」をどう捉えられている?

参加者が「防犯」と聞いて思い浮かべたことは、「玄関」「鍵」「盗み」「夜道」「詐欺」「痴漢」など。

ですが、これらは全て「リアルな世界について」の話。

実際は、リアルな世界についてだけでなく、「SNS」「ネット」などのサイバー空間の出来事も、防犯の一分野として捉える必要があります。 世の中の一般的な「防犯」のイメージはリアルな話ばかりで、たとえば「警察の人に話を聞こう」という連想にまでしか、届きません。

現実世界はネットも包含しており、「ネット上の防犯」も知らないといけない時代になってきているため、河合さんの存在およびMolyのニーズは、残念ながらという前置きつきで、高まっているのです。

ここからしばらく、犯罪と対策についての話が続きます。

 

犯罪の傾向

犯罪は増えているのか減っているのか?

実は、統計上は平成14年がいちばん多く、その当時に比べると、今は半分になっているそうです。 そして、日本の犯罪の70%は「泥棒」で、その1/3くらい(つまり約25%)が「自転車泥棒」。殺人や暴行といった凶悪犯罪は、全体の犯罪件数から比べると比率は少ないのです。

とはいえ、この統計は「警察が認識している数値」とのこと。この中には年間100万件あると言われている「痴漢」は出てきていません。なぜなら、90%は「泣き寝入り」されているからです。実際、東京都が認知している痴漢は年間3000件くらいだそう。 数値だけで犯罪を考えるのはミスリードしやすく、難しそうです。

 

子供と犯罪

公に認識されている犯罪の多くを占めるのは先述の通り「自電車泥棒」です。

では「増えている」犯罪はなにか?というと、「誘拐」と「強制性交」、とくに「子供を狙った誘拐」がここ数年で激増しているそうです。

子供は女の子だけが狙われているのではなく、男の子も狙われてしまっています。例えばショッピングセンターで、トイレまえで男の子を狙った成人男性の犯罪なども起きているそうです。

幼少の頃に性犯罪の被害者になってしまうと、成人した後に残念ながらこんどは「犯罪する側」に回ってしまうケースがあるため、この循環は止める必要がある。

大人が子供に会うための入り口は、SNSかゲーム。

誘拐にあっている被害者はほとんどが子供、特に13~19歳の女の子だそうです。

そんな彼女たちが被害にあうきっかけの殆どが「SNS」。 被害にあいやすいSNSはというと、「twitter」が40%、「ひま部」が11%で、Lineは4%くらいだそう。

「ひま部」は参加者の誰も、知りませんでした。これは子供の間だけで流行っているアプリだそうで、普通の親は知らないですよね。そこに大人が子供のフリして接触を試みてくるそうです。ひま部は2019年12月にサービス終了するそう、ですが、同じ会社の別サービスにユーザーが流れているらしく、犯罪被害の抑止策をきちんと講じていただきたいものです。

ボイスチャットは親がログを追えない。

大阪の痛ましい女児誘拐事件。報道ではtwitter(のDM)でつながったとあるようですが、実際はtwitterの前に「荒野行動」のチャットで知り合った可能性が高いそうです。これらのオンラインゲームアプリには「ボイスチャット機能」があり、ボイスチャットを使いこなせないとゲームで勝てない=楽しくないような構造らしく、子供が文字入力できなくても「話せてしまう」ため、大人が紛れ込んでも子供は「拒否するリテラシーがない」ことから、つながってしまう、とのこと。

親ができる誘拐予防は?

・子供を一人で出歩かせない
・親同士のコミュニティで守る(小学校高学年で、塾に通いだしたら)。
・見守りサービスを活用する
・子供に「悪い大人がいるんだよ」ということを教える(そもそも子供は「そういう大人がいる」ことを知らない)。
・大人からの頼み事を「断っても良い」という教育をする。断り方など具体的な内容も必要。
・見守りタグ(otta、MAMORIO)も活用する。

河合さん曰く、子供が加害者と接触してしまうきっかけは「お金が欲しかった」だけでなく「話し相手が欲しかった」というものも多いそうです。ありきたりですが、コミュニケーション、とくに子供の話を聴くことは、とてもとても重要なのですね。

 

子供の話の次は、犯罪被害にあいやすい女性の話です。

 

女性が被害に遭いやすい犯罪とは?

筆頭は「ひったくり」。

なぜ女性がひったくりにあうのか?

それは
・力が弱い
・かばんが小さい&かばんの中に財布が入っている
・スカートやヒールなど、走りづらいファッション
などに起因するそうです。

河合さんが女性に一番おすすめ「しない」シチュエーションとは、「車道側の肘にかばんをかけて持ち、ヒールを履いて片手にコーヒーを持って歩いている」ような女性だそう。

ひったくり、ときくと、高齢者が多い印象もありますが、高齢者はひったくり犯罪が多い「夜」にあまり出歩かないため、相対的にすくないそう。ひったくり被害にあわれてしまうのは「20~29歳女性」がダントツだそうです。

 

ひったくり、どうやって防ぐ?

ひったくりは、狙われていたらたとえプロの格闘家でも「ぶっちゃけ無理、どうしようもない」そうです。

急に後ろから奇襲されて1~2秒で犯行がおわってしまったら、そりゃあそうですよね。 そうすると、ひったくりについては「そもそも狙われないようにする」予防が大切だそう。

河合さんいわく、ひったくり犯が「犯行を諦めた状況」をヒアリング調査をしたところ、
・50%は、本人が警戒していたので、諦めた。
・40%は、周囲に人の目やカメラがあったので、諦めた。

そうです。つまり、(大変だとは思うのですが)人通りの少なく暗い夜道を避けたり、普段からの気配りを習慣化することが、大切になります。

 

犯人が犯罪を起こしてしまう3つの条件

・動機(むしゃくしゃしてた、お金なかった)
・対象(そこに居た、あった)
・環境(暗い、人が少ない)
この3つが揃わないと、犯人は犯罪行為をするのにいくばくかの躊躇をする傾向があるそう。

動機は犯罪者自身の内面なので外からはわかりかねますが、対象に選ばれないように振る舞う、環境に気を配る、といったことは、できそうですね。 女性も男性も変わらず等しく意識すべきことでもありますね。

 

犯罪の被害者は男性が多い?女性が多い?

これは、男性のほうが66%と、多いそうです。

ですが、こと性犯罪になると、女性が被害者になるケースが97%とのこと。平成29年の内閣府の調査によると、13人に1人の女性が、無理やり性交等をされたことがあるそうです。

この統計は3,300名への聞き取り調査だそうで、リアリティがあります。

痴漢犯罪も多様化

・ワンタッチ痴漢→昔からある、みながイメージする痴漢。
・AirDrop痴漢(変な画像を送りつける)
・匂いをかぐ、息を吹き付ける痴漢

痴漢対策

痴漢は性犯罪であるとともに、男性の「征服したい願望」の充足でもあるそう。「認知の歪み」から、犯人は痴漢を受けている人たちが「喜んでいる」と勘違いしている場合もあります。

ですので、被害を受ける側が自衛しなくてはならないことに様々な思いをもつ方もいるとは思いますが、自衛としては
・座席のある場所の前にたつ(戸袋の角や端に立たない)
・堂々と立つ(堂々としていると寄ってきづらい)
・痴漢抑止バッジをつける
などとのことです。

つまり、征服願望がある犯人の場合、相手がキリッと意思表示していると、狙いづらい、ということなのかもしれません。

ちなみに、痴漢が捕まるシーンは「周囲が”お前何やってるんだ”と声かけすること」がきっかけだそうです。男性諸氏、もしかりに痴漢行為を見かけたら、助けに介入しましょう。見て見ぬ振りは言語道断です。

 

SNSの光と闇

ソーシャルネットワークサービスは、人とのつながりをサービス化したもの。

友人や仕事仲間とのつながりを増やし深くする光の側面もあれば、闇の側面もあります。河合さんいわく、特にTwitterは闇が深いそう。それはいたずらや愉快犯だけでなく、ここにはかけないような悪質な行為が多々繰り広げられているそう。

サイバーセキュリティ的には「SNSに個人情報を出すこと自体」が、非常に危険な行為、だそうです。それは、たとえば本人がどれだけ気をつけていても、つながっている周辺から、外堀を埋めることができてしまうためです。ただそれが、たとえばFacebookで1000名の友人がいたりすると、逆に周囲からは特定しづらくなったりするそうで、バランス、難しいですね。

個人情報ではなくても、写真もリスクを含んでいます。

先日もアイドルの自撮り写真の「瞳に写った風景から場所を特定」というショッキングな手口が話題になりましたね。「自撮り」はLINEでとくに被害が多いそう。

自撮り特定リスクとして、写っている被写体毎の注意点を教えてもらいました。

・車(ボンネットの反射で場所を特定)
・ガードレール(形状に地域性がある)
・サングラス(映り込み)
・大きめのイヤリング(映り込み)
・洗面所(自宅の水回りは賃貸情報サイトで見ることができてしまう)
・鍵(3Dプリンタで鍵を複製される)
・手のひら(指紋を取られる)

自撮り写真は場所の特定だけでなく、わいせつ写真の流出や脅迫などにもつながってしまうケースがあります。一例として、以下のような手順で被害にあってしまうそうですよ、親御さん。

1.「スタンプをあげる、だから画像おくって」の手口で、相手の写真を入手
2.女性になりすまして適当な写真を送りつけて、交換を促して相手の写真を入手
3.入手した画像を元に脅迫され、さらにわいせつな画像を要求してくる

じゃあどうしたらいいの?

これという決め手があるわけではないですが、特にお子さんがいる家庭では、SNSの対策について、
・使い方のルールを定める
・フィルタリングは「親の義務」ととらえて設定を徹底する
・ゲームアプリもちゃんとフィルタリング等で利用を管理する
・ルールを子供に破られる前提で対策を考える(ルールを破るのが子供にとってゲーム) をきちんと親子で話し合ってきめる
などが、抑止策につながるそうです。

 

まとめ&小室コメント

ほかにも、企業のSNS炎上対策なども時間の許す限りお話いただきましたが、本レポートでは割愛。ぜひ、Molyを熟読いただいたり、河合さんの話を聞く機会を作ったりして、色々学ばれてみて下さい。

ちなみに、最後のディスカッションタイムで話題になったのは「防犯、というキーワードだと、響きづらい。」ということ。

私も今回の勉強会を企画し、告知したあとに指摘してもらったのですが、「テーマが地味」と捉えられてしまったようです。防犯は大切、という認識はあるのでしょうけれど、なかなか「ジブンゴトにできない」のかな、という仮説を私なりに立てました。

大切だと気づくためにはきっかけが必要で、そのきっかけがヒヤリハット的に「未遂」の状態ならばまだしも、犯罪に巻き込まれてしまう形だとしたら時すでに遅し、と。。

「防犯」と言わずに「防犯」を日々の生活のなかで意識できる人が一人でも増える、そんな言い回し・表現が登場してくると、もしかしたら、社会の防犯意識が高まり、犯罪率もすこし減ったりするのではないか、、、といったことを皆で考えつつ、お開きになった次第です。

 

最近マスメディアに登場する機会が増えた河合さん、TVタックルやホンマでっかTVなどに「防犯ジャーナリスト」として出演実績がありますが、「怖い犯罪」とセットで語るべき「その対策」がいつもカットされるため、最近は「対策も必ず使うこと」を条件にしているそうです。そんな河合さんの話をひとりでも多くの方が耳にして、Molyを読んで、安全な暮らしができるようになることを願いつつ、本レポートのまとめといたします。

 

河合さん、貴重なお話、ありがとうございました。

Moly.jpのサイトはこちら

 

TIPS

・青色LEDで犯罪を減少させたグラスゴーの例があるが、エビデンスはない。ただ、日本だと、自転車泥棒と電車の飛び込み自殺は何故か減った。
・満員電車は痴漢犯罪発生率が(やはり)高まる。
・アルコールは犯罪発生のトリガー。
・Twitterの「お気に入りツイート」で、そのアカウントの人格などが見えてくる。
・空き巣もSNSで情報収集している。
・泥棒は大半が「窓」から侵入するので、3F以上でもきちんと鍵をかける。

 

こういうなにげない写真にも、リスクが潜んでいるということですね。。。

(記:小室)

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