2011年に「業界を知る」「業界の人材育成を知る」「業界のマーケティング戦略を知る」と、3回にわたって製薬業界について学ぶ機会をいただきまして、今回はその続編です。
オーファンドラッグ=希少疾病用医薬品とは?
対象患者が50,000名未満の、当局が認定した疾患への医薬。
オーファンをメーカーが作る理由
通常の処方薬の開発と違い、当局からの支援が大きく存在している。
- 開発資金の助成
- 優先的な審査
- 薬価・税制上の優遇
- 薬価再審査期間の優遇
これらを当局がメーカーに支援することで、患者数の少なさをカバーする経済的理由がメーカーに生じる。
3年前から変わった製薬のissue
一番大きなissueとしては、製薬の低い成功率が導き出すコストの高騰が存在する。そのため、開発時ならびに販売後それぞれで大きな動きが出てきている。
1.開発段階の治験の効率化
- 国際共同治験:治験データ内に日本人が20%くらいあればそのデータの有効性を認める、という動き
- ブリッジング試験:治験の一部の段階において、海外の治験結果をエビデンスに用いることを認める、という動き
2.販売後のリスク管理
- RMP=Risk Management Plan=医薬品リスク管理計画:医療用医薬に関する様々なリスクを統合管理・公開することで、販売開始後の安全性を担保する。
- 市販後調査:現在の単体テスト的な治験を、さまざまな条件を用意して行うにはあまりに期間・コストが見合わないため、薬の承認後一定期間、製薬企業が主導的に安全性・有効性を調査する。
MSLの拡大とジレンマ
前回の「マーケティング戦略」で触れられていたMSLは、アメリカのMassachusetts法(接待禁止等を定める)や、国内での昨今の研究に関する癒着問題などを背景に、着実に存在感を増してきている。
その一方で、ビジネスとして薬の販売を必要とする製薬企業と、学術的観点から客観的情報提供をミッションとするMSLとの、相剋的なジレンマを製薬企業がどう乗り越えるかは、今後の大きな課題となっている。
ビジネス的な観点からオーファンドラッグの話をしてもらったものの、オーファンドラッグ開発の根底にあるのは「患者のため」という大塚さん所属企業のスタンスに感銘を受ける参加者がとても多かったです。
コメント
MR⇔医師とのコミュニケーションに関わっているが、全容が少し見えた。
オーファンドラックは利益度外視の社会貢献的な位置づけと思っていたが、ビジネスメリットも大きいことを知れた。臨床研究時の課題を知りたい。
市場戦略を知れたのが有意。製薬のニッチ化してることを知った。CRO業界も変わらねばならない。
薬の開発、ということを知ったのは初めて。
薬高い!と思ってたがしゃあないと思えるようになった。MSLの存在を初めてしった。
治験のボトルネックを解消するサービス開発をしたいと考えた。
生々しい話が色々聞けてよかった。
会社によってディシジョンの違いは絶対ある。Sellサイドが聞けてよかった。
今回のお話を総括として、会社を辞められる大塚さん、今後益々のご活躍をご祈念申し上げます。
2014/06/06
於:株式会社スポルツ MTGスペース
講師:大塚 英文さん
(記:小室)