「プレスリリースを出してメディアに載りたい。認知を取りたい」
「PR(広報)に予算をつけるけれど、それで問い合わせは何件増える?」
もしあなたがPR(広報)にこういう期待をしているのであれば、そろそろアップデートする必要があります。
生成AIの登場により、「それっぽい」プレスリリース文は誰でもすぐ作れるようになりました。ですが、PR(広報)の真の価値は「文章を書くこと」でも「露出の数を稼ぐこと」でもありません。自社が提供する価値を潜在的に必要とする方々へ届けるために、言葉を磨き、社会にとっての「良き情報」へと昇華させる。そのためのすべての活動が PR=Public Relations の本来のありかたです。
とはいえ、PR(広報)にリソースを割くのであれば、経営者や事業責任者であればリード獲得や商談生成を期待してしまう、その気持ち、とてもとてもよく分かります。特に新規事業やスタートアップは、いわば「風が吹けば桶屋が儲かる」では済まされない切実な状況でビジネスをしており、限られたリソースで最大限の効果を求めざるを得ません。
今回のナレッジコモンズは、PR(広報)の本来のミッションと経営/ビジネスサイドの期待値を、どうすり合わせ、どのようなアクションに繋げることが必要なのか、フィンテック業界で数々のプロジェクトに携わっているPR(広報)のスペシャリストである品田真季さんと、広報・事業開発・営業・人事と多彩に活躍し、新規事業開発・新市場開拓をこれまで幾度も経験してきた神藏啓さんお二人を講師に迎え、これからのPR(広報)のあり方の本質を、一緒に考えました。
品田さんセッション:PR(広報)の本来のあり方と、中小企業が明日から始められる実践ノウハウ
~PRの第一歩は”見え方のギャップ”を知ること~
第一部は、品田さんからPR(広報)の本来のミッションと具体的なステップについて解説がありました。

PR(広報)とはどういう機能を指すのか、という基本に始まり、広報に対するよくある誤解(PR=プロモーション→メディアに記事が掲載されることがゴール)や、PR(広報)に企業が本来求めるべき役割について、改めて整理いただきました。
品田さん曰く、PR(広報)は「広告宣伝」ではなく、「多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションを通じ、社会的に望ましい環境を構築・維持する経営活動」です。メディア露出による短期的な売上向上を狙うものではなく、中長期的なブランド価値を高める活動として理解しておく必要があります。


少ないリソースで様々な活躍を期待されるPR(広報)。大企業であれば潤沢なリソースやそのブランド・知名度によって、メディアとのリレーションを通じた露出獲得が期待されるかもしれませんが、中小企業やスタートアップの場合、そもそもリソースも知名度もありません。
そうした環境下でも、PR(広報)としてやれることは、「まずは”何を優先して伝えたいのか”を整理する。そして一歩踏み込んで、『自分たちは世の中から今どう見られているのか』と『自分たちがありたい姿』がどれくらい乖離しているか、冷静に判断すること」と品田さんは言います。
そのうえで、最近は生成AIを使うことでプレスリリースを要点を抑えて形にしてくれるため、PR(広報)パーソンは生成AIをフル活用することで、多方面にわたった業務を少ないリソースでも回すことができる(かもしれない)と述べます。
「書く」ハードルが生成AIによって劇的に下がったことで、PR(広報)パーソンが本来注力すべき「自社が伝えたいことを、社会にとって必要な情報へと昇華させる」戦略に時間を割くことができるようになりました。
その上で、SNSやオウンドメディアなど、自分たちで容易に情報発信ができる現在こそ、「情報を届ける仕組みを自分たちで持つ」ことが、企業の規模を問わず、PR(広報)が企業において始めるべき第一歩だそうです。

神藏さんセッション:多忙な事業開発のなかで「片手間」広報ができること
~広報とマーケティングを連動することは生成AI対策にも繋がる~
これまでのご経歴のなかで、新たな市場の創造を実務家としてリードしてきた神藏さんからは、広報に集中してリソースが使えない状況において、広報をどう理解・定義して、何を優先して行動するか、具体的な実例も添えてお話いただきました。

神藏さんは、事業開発における広報の役割を「市場を創造するための広報」と「プロダクトを周知するための広報」の2つにあると定義し、それぞれの目的において、コンパクトにやるべきタスクを定義しています。

そして、冒頭の問い(「プレスリリースを出してメディアに載りたい。認知を取りたい」)については、コロナ禍以降で大きな変化があったそうです。それは、メディア(記者)と企業の関係性が変化して、「情報を発信していれば、メディアの記者が見つけてくれる機会が増えた」らしいのです。

パート1の品田さんの話にもつながりますが、CMSの進化やSNSの興隆、生成AIの登場によって情報発信のハードルが下がっている現在こそ、一次情報としての価値ある内容のコンテンツを自分たちで情報発信することが、広報としての広がりを生み出す状況になっている、そのため、PR(広報)=積極的な情報発信がこれからの企業にとってとても重要になる、と神藏さんは言います。
そういった情報発信は巡り巡って生成AI対策にもつながるという具体的な事例の話もありましたが、それは当日ご参加いただいた方だけということで。
参加者同士のリフレクション(振り返り)
二人の講師からのインプットの後は、参加者同士で「今日一番の学び」をディベートしてもらいました。
- 生成AIの登場で、マーケティングと広報の垣根がどう変わっていくのか、実感を持って学べました。
- 品田さんの広報としての凄まじい仕事量を聞いて『影武者がいるんじゃないか』と思いました(笑)。
- 神藏さんの事業スケールの事例が美しすぎて圧倒されました!
- 今までX(旧Twitter)の発信を止めていたけれど、再開してみようと決意しました。
- こちらが持っていて相手が持っていない情報をうまく出していくこと、そしてプレスリリースからすべて連動させていくという視点を明日から意識していきたいです。
まとめ
生成AIによってプレスリリースを書くこと自体は容易になりましたが、そもそも企業が伝えるべきメッセージが社会にとってどのような価値があるのか、それは社会が求めていることなのか、という「企業活動の根幹」を適切に言語化し発信することがPR(広報)に求めるべきミッションなのだ、ということを学べました。
勉強会の冒頭にissueをひとつ投げかけて見たのですが、品田さん・神藏さんによって「価値の言語化を経てから、発信!」という具体的なアドバイスをいただけたのが大きな収穫です。

ご講演いただいた品田さん・神藏さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
参加者の声

プレスリリース作成にあたり、意識すべきことがわかってよかった。

広報の働きとして悩んでいる部分がクリアになりました。

広報として具体的に明日から何をまずやればいいかがわかった。

広報からマーケティングに繋げる方法、マーケが広報化していく点を知れた。

広報の仕事の実際に行っている業務を当事者の方から聞けた。

実際の取り組みをかなり具体的にお話して下さったので、感謝です!

