「いまさら聞けないRPAのキホンを学ぶ」勉強会レポート

7月半ばの暑い夏の夜、ホワイトカラーの業務効率化・自動化への取り組みを意味するRPA(Robotic Process Automation)をテーマに、株式会社リビカル 代表の元山文菜さんにお話しいただきました。

ここ最近のビジネスど真ん中なテーマでありますが、元山さんの素敵なたたずまいが、会場をふわりとやわらかく、涼しげな雰囲気にしてくださいました!

RPAとは、要するに何でしょう?

業務プロセスにかかわる部署の方はご専門になりますが、まだまだ一般には知られていないRPA。高度経済成長期に見られた人口動態「人口ボーナス期」の逆、「オーナス(重荷・負担)期」の働き方、具体的には、働く世代が極端に減り、少ない若手が高齢者を支える社会構造において最大のアウトプットを得るにはどうするか、という文脈からでてきたもののようです。

その実態は、ホワイトカラーの仕事を代行してくれるロボット(ソフトウェアプログラム)。もちろん、産業用ロボットのように実態があるわけでも、Aiboのように可愛らしく手足があったりするわけでもありません。複数の、たとえばエクセル、インターネット、アウトルックといったアプリケーションを同時に動かし、ミスなく24時間365日働き続けてくれる「デジタルレイバー」のことを指します。壮大なマクロ、とも表現できるでしょう。

これで単純作業から解放され、コア業務に専念することができます。社内で導入済の基幹システムをそのまま使用でき、莫大な設備投資を必要としないのも良い点です。

RPAに向いている作業と導入リスク

元山さん曰く、「盛大に散らかっている部屋でルンバを動かしても意味がないように、RPAには向いている作業と向いていない作業があります」とのこと。向いている作業とは、たとえば受注伝票入力や請求書作成のような経理財務、従業員のスキルやタレント情報管理などの人事関連業務、発注処理などの調達業務など。「ルールが明確でロジックとして表現しやすく、自動化しやすい仕事が得意」といいます。

一方、主な導入リスクは以下の2つ。

  1. 対象でない業務にまでRPAを導入してしまい、かえって人手やコストがかかってしまう
  2. 簡単にロボットを作り修正もできるため、何度も変更が加わり、そのうちに動かす側もわからなくなり、勝手に動く「野良ロボット」になってしまう

うーん。あるあるなケースですね。

RPA導入の3つのポイント

RPA導入において、どんな点に注意すべきか、3つのポイントについてご説明いただきました。

その1:「ロボットは手段であること」。

導入により実現したい変革ゴールが経営戦略と同方向を向いていることが重要になります。

その2:「業務プロセスの最適化という視点でRPAの導入を検討すること」。

その上でロボット化の対象となる業務を特定し、本当にロボットが必要なのか検討すること。

その3:「戦略との整合性をとること」。

テクノロジー戦略や業務戦略に合致したRPAであること。

RPAの導入はあくまで手段、目的化してはならない、ということですね。

人間が担うべき職務、組織のあり方とは

「近い将来、ロボットに仕事を奪われる」などと言われたりもしますが、「RPAが担えるのはあくまで一部の作業」、と元山さんは言います。

人間は、従来の部下や後輩を管轄する立場から、今後は人間だけではなくロボットまでもマネージメントできる幅広いスキルを持つ方向にシフトすること。すなわち、RPAを動かしつつプロジェクトのすべてをマネジメントできるような人財は価値は高い、ということのようです。

企業の4割はノンコア業務と言われているようで、そうするとまだまだ業務効率アップの余地がある、ということになります。ロボットを含むプロジェクトの管理というのは、長い目で見て必須のスキルになってくるかもしれません。

人口オーナス期、RPA時代の組織のあり方についても、こんな風にわかりやすく説明してくださいました。

「状況に応じて外したりくっつけたりできるLEGO型組織を目指しましょう。従来の組織はプラモデル型。ひとつずつパーツをくっつけて形をつくり最終的に立派なものが出来上がります。が、作り上げてしまったら、容易に形を変えることができなくなる、それでは今の日本の人口動態・社会構造の中で生き抜くことはできないのです」。

参加者さんからのコメント

  • RPAの位置付け、メリットデメリットや導入時の課題を聞けたこと、また実際にデモを見ることができてよかったです。
  • RPAという文脈だけでなく、BPRの流れから体系的に話が聞けて参考になりました。
  • プロセスの改善が進んでも、元の戦略がしっかりしていないと、やはりダメな結果になることを再確認しました。現場オペレーションの改善のみでは限界があると感じました。
  • RPAを日本で普及させる場合には、ソフトウエアの減価償却の税制、内部統制の規制についてもメスを入れるべきだと思っています。

原田さんによるグラレコ

元山さん、ありがとうございました。

(山口)

小室の感想

「働き方改革~」やら「人材不足!」などの文脈で、目にする耳にすることが増えましたね、RPA。でも最近はどうも「AI」と同じように「いまのうちにRPAって言っておけばオーケー」みたいなノリで、「ただバッチ処理してるだけなんじゃね?しかもそれRPAって言っちゃうには、、あれれ?アナタのサービスそもそも部分最適だよね?ロボ的にプロセスをオートメーションする範囲って一体…」というサービスが多くて、正直ちょっと辟易しています。

そんな、RPAもAIも「ツール入れれば万事解決!」みたいなことを期待してしまうユーザ企業もいたり、そういうユーザ企業をGETすべく上述のようにマジックワードとしてRPAと言ってしまう昨今の軽薄な風潮にたいして、アンチテーゼとして「導入前のコンサルティングが大事!」と言い切り、RPAをルンバと見立てられる元山さんのお話は、本質的で、スーッと腹落ちさせてもらいました。

ちなみにRPA導入ご検討の方がもしいらしたら、いつでもご提案にうかがえますので笑、ご連絡お待ち申し上げます(笑)。

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