最近話題のスマートTV。単にテレビがネットに繋がったこと以上になにができるのか、NHKのなかのひと、浜口さんに解説していただきました。
- スマートテレビってどういうもの?
- どういう市場/プレーヤーが存在する?
- 視聴者にとってのスマートテレビとは?
- この先どういう方向にすすむ?
スマートテレビとは
「ネット接続ができて、アプリによる機能拡張ができる」テレビ。テレビ本体でも、セットトップボックス(STB)による拡張でも、それはどちらでも良い。
スマートテレビで実現できることは?
- VOD(VideoOnDemand=見たいものをいつでも視聴)
- コンテンツの検索
- 端末連携(テレビ×スマフォorタブレット)
- ソーシャルテレビ(テレビ×ソーシャルメディア)
これらはスマートテレビ独自の新技術とかではなく、全て既存の技術で実現できるものたち。
スマートテレビの盛り上がり
US、EU、中国ではだいぶ盛り上がっている分野ですが、日本は、エコポイントによるテレビ買い替え需要の終了、放送と通信の乖離、テレビ利権による抑制?など、さまざまな背景により、逆に盛り下がっている感じがあるようです。
テレビ視聴
一人あたりのテレビ視聴時間は増えないなかで、時間あたりの視聴価値を高めるために、スマートテレビがどういう役割を果たせるか、を考えぬくことが、ビジネスチャンスを生む。
ソーシャルテレビ
「twitterやFacebookと連携」は”ソーシャルテレビ”。スマートテレビはソーシャルテレビも取り込む包括的な概念。ソーシャルテレビは主に2つの観点で語られる。
- ソーシャルビューイング(動的)⇒視聴率の代わりを狙うもの?
- インタレストグラフ(静的)⇒新たな広告モデル?
多様なプレーヤー
プラットフォーマーはまだ定まっていない、戦国時代状態。
- ハードウェア~各メーカーともに機能はだいたい横並び。
- リモコン~リモコンをなくすか、便利なリモコン開発か。(前者は理想だがまだ現実的には難しい)
- VOD~HuluやNetflix。成功の秘訣は「抱き合わせ定額」&「充実したラインナップ」。※ユーザの70%が”サイトからレコメンドされたもの”を見る傾向にある。
スマートテレビの重要なポイント
「視聴率」というザックリな数字ではなく、ユーザーの行動データを集めて分析することで価値が生まれる。プライバシーの問題さえクリアできれば、広告や行動解析などで新たなビジネスの展開が見込める。
広告の多様化
テレビ画面で番組を見ている時に、連携しているスマートフォンに広告が出る、等、あらたな接触ポイントが考えられる。現状の課題は、デバイス横断で全体を設計できる人がいないことである。
ソーシャルキャタリスト(触媒)
- 自らは変化せずユーザー同士を結びつける仲介を行うモノやサービス
⇒テレビ番組がその役割を果たす?(学校で番組について話す感じ)
←触媒であることを意識した情報流通のトータルデザインができたら勝てる? - IDの統一化は今後ありうる?
⇒充分有り得る。GoogleもFBも狙っている。
ヨーロッパは規制の方向に、韓国は背番号が既に付与。日本は?
感想・コメント
ユーザー目線として、スマートTVのキーとなるインターフェースはなに?今までと違う視点でTVが進化した、という感じは受けない。
実証実験の話がありがたかった。キラーがまだいない。アプリマーケットは来るのか?ツール系は難しそう。アプリというよりプラグイン的思考が良いアプローチ?
混沌とした時期であることが分かった。陽の目を見ないコンテンツが浮かび上がるのは面白い。期待感はある。
スマートTVが何か分かった。ビジネスとしてはまだ黎明期。これからチャンスがあるはず。データ分析が面白そう。
スマートTVをハコとして見てたが、そうじゃないことが深くわかった。
ユーザー視点と異なる視点があることがわかった。単なるソーシャル化だけではない、広い可能性がありそう。
2012/06/15
於:コクヨファニチャー株式会社 霞が関ライブオフィス
講師:浜口 斉周さん