「社労士が語る、1~50名規模の会社が気をつけるべき人事労務のエトセトラ」勉強会レポート

採用トラブルやスタッフの離職、問題社員など、「人」に関する悩みは尽きることはありません。

また、労働時間や環境が「ブラック」な企業の話題が取り沙汰されやすくなっている昨今、組織のローカルルールや、経営者の感覚のみに頼る、安易な人事・労務管理が、経営リスクに直結するケースも散見されます。

そこで今回のナレッジコモンズは、社会保険労務士としてこれまで数百の企業を支えてきた、社労士シグナル 代表の有馬美帆さんにご登壇いただき、人事労務のエトセトラをじっくり学ばせていただきました!

人事・労務とは何か?

人事・労務という、素人にはわかったような…分からないような… その言葉が意味するところは何か…。

大きく6つにわけることができると有馬さんはおっしゃいます。それらは次の通り。

  1. 人員配置
  2. 採用
  3. 働き方改革
  4. 評価
  5. 労務
  6. 教育

前半の3つは『攻め』、後半の3つは『守り』の業務です。

攻めと守りは、それぞれが個別に存在しているのではなく、たとえば「働き方改革」を実施したら、「評価」もそれに連動してアップデートする、といったように相互につなげて考えるべきで、「個別に考えるのはNG」と、有馬さんはおっしゃいます。

加えて、「たとえば攻めの『採用』にはお金を使うけれども、守りの『労務』にはお金を使わない。ここ、問題です。労務はとっても大事なんですよ!(有馬さん)」と、労務の重要性を強調されました。労務に含まれるものは、雇用契約書の整備、勤怠管理、各種就業規則、守秘義務・業務委託契約などなど。

トラブルはどこで、どんな形で顕在化するのか

組織の成長において、「30人(20~30人)、50人(30~50人)くらいの時に壁が出現する」と有馬さんはおっしゃいます。

30人くらいの時は組織として評価制度を取り入れたり、50人くらいの時は評価制度の運用に手間がかかったり、社員のニーズに合わせてさまざまな働き方を提案したり、といったことが必要になるからです。要はマネジメント面の問題です。

もうひとつの大きな壁が、「問題社員の出現」だといいます(←アルアル)。全社員の5%くらいといわれているのだそう。トータルで20%くらいは予備軍という指摘もあるようです(パレートの法則、ですね)。

問題社員は、「突然来なくなる」「酔って人を殴る」「うつ病による長期休職」などなど。そのポジションの人が突然いなくなるため、リカバリーが大変です。また、「再三の遅刻・欠勤」「ネットばかり見ている」「営業に行ったフリ」などは、それが組織の文化となり、全体の生産性を落としていきます。これ、問題ですよね!!

さらに、「会社のPCや携帯の紛失」「守秘義務を破る」「退職時にデータを持ち出す」、こういったことは情報漏えいによる取引停止にもつながっていきます。

問題社員出現の要因と、対策

問題社員出現には大きく2つの要因があるといいます。

ひとつは、社内のルールや管理の不備。もうひとつは、社員にとっての小さな不安が積み重なることで起きる爆発、です。「労働基準監督署が会社に来る」「弁護士から書面が届く」「親から連絡が来る」といった形で一気に問題が顕在化し、あたふたすることもあります。

では、問題社員への対策とは?それは、「 対話(話を聞いて誘導する)」と「就業規則(組織のルールとマナーを持ってジャッジする)」、これに尽きるとのこと。

「就業規則、コピー&ペーストなんて絶対だめですよ!」。やはりコピペでは自社の事情が反映されないわけで、「自社のルールと他社の良いところを織り交ぜてつくり上げるのがコツ」とおっしゃっていました。

まとめはグラレコで! ジャン!

参加者さんの声(アンケートより)

今日はこれが聞けて良かった!

  • みなさんが抱えている課題やこうしようと思っている方向性、評価制度のトレンドに対する考え方など、非常に参考になりました。
  • 自分が体を合わせるのではなく、相手に自分の体に合わせさせる、ことが大事で、それを実現するために頑張っている社労士さんがいること。
  • 全体的に、おもしろかったです。社労士が関わる全体像を俯瞰的にお話いただいたイメージです。人事全般、広域にカバーされるお仕事なのだということが理解できました。

感想全般

  • 財務諸表には人材は固定費としてしか現れてきません。人材の資産価値を数値化することは困難で、これ程難しい投資はないなぁと思うのが人の事です。でも、人材がいなければ企業は成り立ちません。そんな領域に携わる難しさと、また必要性を実感しました。
  • 有馬さんのキャラクターが最高でした。あたりさわりのない人より、あのくらい切り込んでくれる人の方が、刺激が多くておもしろいです。
  • ご紹介されていた「人事評価はもういらない 成果主義人事の限界」早速購入したので読んでみます!

最後に

有馬さんから経営者さんへのアドバイスとして、「経営マインドの高い社労士さんを顧問につけると、会社の守りが強化され、攻めにより出やすくなります!」とのことでした。

有馬さんはもちろんそういう社労士さんですね!

有馬 美帆 (ありま みほ)さん プロフィール★
社労士シグナル 代表、社会保険労務士
(略歴)
2007年、社会保険労務士試験合格。その後2社で経験を積み、2014年、登録・開業。ベンチャーやスタートアップを中心に、労務手続き・給与計算・就業規則作成・労務トラブルの未然防止を支援。そしてIPOにおける労務監査の支援を得意とする。

2017/2/15
於:株式会社D2C
(記 山口)

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