2020年最初の開催は『ナレッジコモンズ ミートアップ(2020/1/14開催)』。フィンランドのシリアルアントレプレナーであり、現在は「attractive.ai」を提供しているKristoffer Lawsonさん(Attractive Founder & CEO/Solu CEO & Founder/Holvi Co-founder/scred Co-founder)、そして海外のマーケット事情に詳しい島田達朗さん(新米ママ向けサービス「ママリ」を立ち上げた元コネヒトのCTO)をお迎えしての、にぎやかな会となりました。
目次
- 粗悪なUXによる損失は1兆円にも!
- これは便利!UX改良ツール「attractive.ai」
- 「ママリ」で成功後、世界一周の旅へ
3.1. 世界に影響を与えるスタートアップ(公共サービス)① スイス国鉄
3.2. 世界に影響を与えるスタートアップ② ケニアの救急医療サービス - 改めて日本のスタートアップに思うことは?
粗悪なUXによる損失は1兆円にも!
サイト構築では「ただそこに情報を乗せただけではダメ」で、UIはもちろんUXを無視してはダメということは、皆さんもご存じの通りです。粗悪なUXは人にストレスを与え、結果、離脱させてしまいます。クリスさんによると、「ECサイトなどでの損失額を積算すると、1兆円くらいになるとも言われている」のだそう。
UX上のよくある問題点としては、以下があげられます。
- 画像の解像度が低い
- 興味に沿ってクリックしていたら途中で別のサイトに移ってしまった
- サイトの構造に規則性がなく操作しにくい
- ユーザーの動きを予測しすぎて色んなものが立ち上がり、逆にストレスを与える
これは便利!UX改良ツール「attractive.ai」
こうしたルールを知っておくことはもちろん重要ですが、そのサイトの問題点を検出し、解決策を提案してくれるサービス「attractive.ai」を提供しているのがクリスさんの会社です。アドレスを入力すると、サイトの中をくまなくリサーチし、UX上の問題点が抽出されるというもの。もちろん根拠に基づいた提案であり、良いUX事例として参考にしたサイトがリファレンスとして提示されるようになっています。サイト制作の予定のある方や、構築中の方にぜひおすすめしたいツールです。
クリスさんは5~6頭の猫と一緒に暮らしているそうで、日々の暮らしとUXを例に、こんなたとえ話をしてくださいました。
「欲しいものが欲しい場所にあるように部屋の中をレイアウトしても、猫がいたずらしたり、物を落としたりするから、すぐにBAD UXになっちゃうんだ」
なんとクリスさんは大の日本びいき。「日本人は優しいし美味しいものもあるし、フィンランド人とも似ている部分があると思うんです」とクリスさん。日本が大好きすぎて、「attractive.ai」では、英語に次いで、日本語版を実装すべく作業中だそう。こちらも楽しみです!
「ママリ」で成功後、世界一周の旅へ
もうひとりのプレゼンターは島田さん。新米ママが家族にとって良い選択を自らの意思で行うことを支援するウェブサイト/アプリ「ママリ」を立ち上げ大成功。退職後、世界一周の旅で見聞きしたことを共有してくださいました。
「最初の起業では日本市場で成功したという感触を得ました。次はグローバルで認められるサービスを提供したいと思い、知見を広めるために世界を見に行きました」と島田さん。訪問した国は約40ヵ国、60都市、期間としては約半年。最初に訪問した国がフィンランドで、そこでクリスさんに出会ったのだそうです。
世界に影響を与えるスタートアップ(公共サービス)① スイス国鉄
スイスの地下鉄には便利な券売機が設置されています。と、ここまで日本と同様ですが、そのメニューがユニークでした。「ビットコインを買う」というメニューがあるというのです。スイスは金融の国であり、その特徴をサービスに落とし込んだもののひとつが「地下鉄の券売機でビットコインを買うメニュー」というわけです。
世界に影響を与えるスタートアップ② ケニアの救急医療サービス
ケニアにはそもそも、119番のような「エマージェンシーナンバー」が存在しないのだそう。一刻を争う救急医療において、病院に到着するまでに何時間もかかるという事態が「日常」となっていました。本来は国のインフラとして行うべきことですが、それがないので民間のスタートアップが立ち上がったというもの。主なサービスはエマージェンシーナンバーの発行と、救急車の出動です。
改めて日本のスタートアップに思うことは?
「日本は、エンジニアの質では負けていないと思うんです」と島田さん。ただ、アイディアの着眼点が内向きで、どうしても日本人にとって気持ちのいい、日本人にとって便利なサービスに着地してしまう。すなわち複数国での横展開が難しいためにユニコーンが生まれにくい、というのが課題だと指摘します。「何をやっても伸びる」経済成長期なら、それでも利益が確保できますが、成熟期まっただ中の日本では、いいものを作って売っても「利益はそこそこ止まり」。もっともっと「グローバルマーケット」を視野に入れるべきということでしょう。
島田さんによると、40ヵ国を訪問して住んでみたいと思った国は「フィンランド」。人が優しく謙虚で治安もいいからだとか。でも、物価が高い点はネックかも!?とのことでした。
クリスさん、ヨナさん、島田さん、本当にどうもありがとうございました!またお会いできる機会を楽しみにしています!
(記:山口)