「ライティングのキホンを学ぶ。」勉強会レポート

今回のナレッジコモンズのテーマは「ライティング」。小学校のころから文章を書くのが大好きで、大学卒業後はフリーのライター、その後大手出版社で書籍の編集、現在はフリーのクリエイターからなるチーム「TokyoEDIT」の代表をつとめていらっしゃる大住奈保子さんにご登壇いただきました。

こういう文章が良いという「こたえ」はない。

「どんな文章が良い、悪いという確たる基準やこたえはないんです」と言い切る大住さん。膨大な数のメール、ちょっとしたメモ、社内文書、プレゼン資料など、プロのライターでなくても日々、あれこれ書くことを強いられるビジネスパーソンにとって、ちょっと…残念な…こたえです…。でも、だからこそ、苦労するんですよね。強いて言うならば「読んでいてストレスを感じない文章」が良い文章、とのこと。でも、まだちょっと抽象的、かもしれません。

そんなつかみどころのない「ライティング」だからこそ、少しでも文章を書くことが楽しくなれば、という視点で、2つのことを語ってくださいました。

書くことが楽しくなるTipsその①:相手の立場で考える

これは大住さんがプロとして意識している、とても大切なことなのだそう。書き手が発信したいことを思いのまま、ありのまま発言すると「たいてい心のバリアをつくられてしまう」からなのだとか。穏やかな心でいられるときはいいですが、ちょっとイラっとしている時などはキツい文章になりがちですので要注意ですね。

もう少し深く掘り下げると、「書き手が『発信したいこと』と、読者が『読みたいこと』は、そもそも異なるという原則を知っておくことが重要」と大住さん。

では、双方向のコミュニケーションを成立させるにはどうしたらいいのでしょうか。

「読み手の立場でコンテンツをつくると、受動的だった読者が能動的になります(大住さん)」。なるほど、「能動的な文章」というのがキーワードですね!

具体的には、「『自分はこう思う』ではなく『読者なら、こう思うだろう』という思考を持つこと」。文章にも相手を思いやる「やさしさ」が必要、ということのようです。

書くことが楽しくなるTipsその②:読みやすい文章の条件を知っておく

読みやすい文章の条件ひとつ目、「言いたいことが1つに絞れている」文章。

「メッセージが多いと読後のモヤモヤ感の元になるんです」、と大住さん。ひとつの文章が3行にも4行にもわたるような場合は言いたいことが1つに絞られていない可能性があり、要注意かもしれないです。

2つ目、「最後まで飽きずに読める」文章。

読者が求めることをタイミングよく伝えることが、飽きずに読める文章のコツとのこと。これが章立てや、文章の中/ 小項目(たとえば見出し)の順序にもつながるのだそう。

「第一関門はタイトルの付け方です」と大住さん。メールの件名などがあてはまると思います。たとえば…

○「宝くじで1億円当たった人の末路」(多くの人が興味をひくタイトルはこれ!)

△「宝くじで1億円当たった鈴木さんの話」(そもそも読者は、鈴木さんにはあまり興味がない)

×「もし宝くじで1億円当たったら」(どんな内容が書いてある本なのかよく分からない)

3つ目、「文章のリズムがよい」こと。

なんだかハードル上がった気がしますね。取り入れられる手法として「同じ文末表現を続けすぎていないか」、「『こと』『もの』を使いすぎていないか」、「接続詞を多用していないか」「読点が多すぎたり、少なすぎたりしないか」、「漢字とひらがなのバランスがとれているか」。このあたりを意識してみては、とのことでした。

4つ目、「見た目的に読みやすい」文章。

感覚的には分かる気がしますが、具体的な手法としては、「見出しを入れるタイミングが適切か」、「改行のタイミングは適切か」、「字間が読みやすく調整されているか」、「レイアウトが美しいか」。これらを意識すると、ぐっと文章が美しくなるそうです。

5つ目、「配慮が行き届いている」文章。

これは、冒頭の「相手の立場を思いやる」ということともつながりそうです。具体例としては、「媒体は意識すべきポイントのひとつ」、と大住さん。たとえば、ウェブサイトの場合。ユーザーは、「文章は読まずに『見る』」といわれています。とすると、長い文章は好まれないでしょうし、見出しをキャッチ-なものにしたり、という“配慮”が自然と出てきます。

「良い文章を定義づけるのは難しい」、というのが前提でありながらも、大住さん流「きょうから取り入れられるライティングのポイント」がたくさんあったように思います。本当にどうもありがとうございました!

参加者さんの声(アンケート結果より)

  • 文章の細かな技術的なところまで聞けて良かったです。
  • ライティングの基本のキすらわからない状態だったので、全体的にとても勉強になりました!読者目線で良い文章を作るために気をつけたら良いことは今後意識していきたいと思います。
  • 文章は、視覚要素に大きく影響されることを知りました。
  • 読み手の意欲を削がないために、文章の内容はともかく、見た感じに黒くしないようにひらがな多用したり、レイアウトを工夫する点などが参考になりました。

本日のグラレコはこちらです。

2017/9/20
於:株式会社D2C
(記 山口)

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