ナレッジコモンズ65回目の今回は「営業」について学ぶ2時間。今回のレポートは小野が担当します。
今回の講師は、学生時代はバックパッカー、現在は月1でバンドマンとしても活動されている山田 晃義(やまだ あきよし)さん。本業は「REAPRA Ventures」で、投資先のセールス活動を支援していらっしゃいます。
山田さんがこれまでのご経験の中で培ってきた営業活動のプロセスや、現場の課題解決につながるヒントなど、「現場の視点」から「強い営業組織をつくる」ためのノウハウをお話しいただきました。
売れる営業マネージャーが抱える悩みとは?
育成、売上、メンバーのスキルなどなど、現場での悩みはたくさんありますよね。そのなかでも「売れる営業マネージャー・リーダー」が抱えているのはどんな悩みなのでしょうか?それらは例えば
・現場で起きている悩みに気づけない
・自分が主力となって営業マンとして動いてしまい、チームの営業力が上がらない
・営業スキルが体系的に伝えられない
といったことかと思います。なぜ、このような悩みが生じているのでしょうか?
それは、天才肌の営業さんがマネージャー・リーダーとなっているからです。
例えば、営業トークが神がかっている。難しいクライアントでも絶大な信頼を得ることができる。など、「この人は天性の営業スキルがある」と感じる人って、周りにいませんか?
その人にとっては当たり前のようにできていることを、営業経験が浅いメンバーが表面的なテクニックだけをマネても、うまくいかない、再現できない、という事態に陥ります。
再現性が高く、同じ条件で同じように動けるメンバーを増やす
「チームにとって重要なことは、5点満点の天才肌の営業マンを育成するのではなく、4点の仕事ができる営業マンを育成し、量産することです。」と語る山田さん。企業としては天才営業マンを増やし、売上を上げていきたいという狙いがあると思います。
ですが、5点満点の営業マンが増えすぎるとどうなるのでしょうか?営業活動が属人的になってしまい、その人がいないと売れなくなってしまう。さらにはリスク要因になってしまいます。
だからこそ、再現性が高く、5点ではなく「4点」の仕事ができる人材を育成することがポイントとなってきます。この考え方には参加者の皆さんも驚きを隠せないようでした。
強い営業組織をつくるためには?
4点の営業パーソンを育てるために、どのようにしてスキルを標準化していくのでしょうか?
それは、天才的で属人的なテクニックではなく、しっかりと基礎スキルをつくっていくことです。具体的には次の通り。
商談時のヒアリング
- SPINというメソッドを活用すること
- ヒアリングの際にお客様自身が課題を認識し、潜在的ニーズを顕在化させること
売ろう売ろうという意識が強くなると、自分ばかり話してしまいお客さんが求めていることが何か見えなくなってしまいます。一方的に営業マンが話すのではなく、お客さん自身に課題や求めていることを気づいてもらうよう、キャッチボールをしながら探っていくことが大切になってきます。
本番の架電・訪問を想定したロールプレイ
育成中のメンバーが、実際のお客さんと接する前に地ならしをするためにロールプレイを実施していきます。本番と同じシチュエーションで実践することで、普段は気づかない行動や所作など、気づきと学びを得ることができます。
初めての営業活動をするメンバーがいきなり実際のお客さんと接することは、ハードルが高いと思います。本番を想定したロールプレイがあることで、事前に自分の癖や行動など客観的に捉え、改善していくことで安心して現場に立つことができるのではないでしょうか。
外出報告
企業外出報告、略して「外報」と呼んでいる方もいるかと思います。この外報も、強い営業組織をつくるための大事なポイントとなってきます。
<訪問前の準備>
- どこに訪問するか
- 訪問の目的やゴールは何か
- 事前に考えているヒアリング内容は何か
など、訪問前の準備としてリーダーに詳細を共有し外出します。
<訪問後の行動>
- 商談結果はどうだったか
- どんな内容を話してきたのか
- ネクストアクションは何か
訪問前後の状況や内容を共有することで、明確な目的をもって動くことができます。
最初から最後まで走るのは育成メンバーです。様々なことを体験し成功を積み上げいくためにも、リーダーはあくまでも伴走者としてサポートすることに徹する姿勢が必要、とのこと。
天才営業マンがチームを引っ張り、属人的なスキルに頼るのではなく、再現性を重視しながらチームの平均値をあげていくことが強い営業組織をつくる一歩につながります。
参加者同士でのダイアログ
講座も終わり、2人組になりながら感想をシェアしていきます。
天才営業マンを育成することに目標を置かない
「4点の人材を育てるという視点が良かった。」「管理体制の徹底化と仕組みづくりに取り組みたい」「そして属人化の徹底排除!」
講座中にも、反響の多かった天才営業マンを育成するのではなく、できる営業マンを増やす。
メソッドの活用
「質問力が弱いと感じていたので、SPINを実践してみようと思った」
レポートではSPINについてふれていないのですが、メソッドを組み合わせることで弱いと感じる箇所を補うことができます。
まとめ
参加者の大多数が営業職や、活動の中で営業をしているという方が集まりました。日々の活動の中にも取り入れられる!という声も聞こえる中で勉強会が終了しました。
私はこの講座の次の日に、学んだことを試してみる機会があったので意識しながら活用してみました。すると、課題感を引き出すことがいつもよりうまくいってるぞ!という手応えを感じました。
ナレッジコモンズの冒頭で小室さんのメッセージに、「学ぶだけではなく誰かと共有する、実践してみるということを大事にしてほしい。」という言葉があります。このレポートを読んで仕事の中に取り入れてみよう、発見があったなどお役に立てると嬉しいです。
なお、この日は原田さんが夏風邪のため、残念ながらグラフィックレコーディングもお休みでした。残念!
これから夏本番です!営業・訪問時にたくさん汗をかいたり、暑くて体力が奪われていくので倒れないようお気をつけてください。
(小野)
小室の感想
営業としての私は、マネージャーとしてチームを率いさせてもらっていた経験と、プレイヤーとしてリファラル型の引き合い獲得からクロージングまでやっている経験と、その両方を経験した結果、告知サイトで「自衛隊より攻殻機動隊を作りたい」と書いた次第です(笑)。
攻殻機動隊の、確か「S.A.C. 2nd GIG」で、素子が「9課は物量で攻められるとさすがに負ける」といった話をしていたことはもう皆さん周知の事実かと思いますが、山田さんのお話は、まあつまりそういうことですよね笑。
とはいえ、どちらの組織体制で経営するか、は、ビジネスモデルや商材、クライアントや市場性によって各社各様だと思いますが、「営業が強い会社は潰れづらい」のも事実です。
小室は、山田さんのお話の中で出てきた「SPIN」を知らなかったので、ご紹介いただいた書籍や実践を通じて、まだまだ営業力を底上げしなければ、と強く思った次第です。