今回は普段からちょっと趣を変えて、「写真の撮影技法」をテーマに、ややハンズオン的な勉強会を開催。
スマホを通じたSNSの使用が日常になったことで「写真を撮る」という行為は日々のルーチンになりつつありますが、「平日夜のマーケティング勉強会」を謳うナレコモ、「業務で使う写真を撮るには?」といった視点で、料理・モノ・ヒトなど幅広いジャンルの撮影を得意とするフォトグラファー 高木成和さん にお話しいただきました。
どう撮るか?(絞り、シャッター速度、ISO感度)
カメラの撮影においては、「絞り」「シャッター速度」「ISO感度」の指標が『三種の神器』のような存在だそうです。それぞれ簡単にご説明しますね。
絞り
F値とも言われ、光の量やボケ具合(被写界震度)を調整する指標です。
F値が小さいほど、ピントが合う範囲が狭くなります。
シャッター速度
シャッターが開かれる秒数を示します。「(シャッタースピードが遅い)1/2⇔1/30⇔1/500(シャッタースピードが速い)」などと表示されます。
分母が大きい場合は、スポーツなど動きのある絵を撮るのに適しており、小さい場合は、より光を多く取り込み夜景などを撮る際に適しています。
ISO感度
シャッター幕の開閉時間(露光時間)のことを示し、(ISO感度が低い100⇔800⇔1600(ISO感度が高い)のように表示されます。ちょっとシャッター速度にも似ていて、相互補完のような関係にあるとのこと。
暗い部屋で撮影する際はシャッター速度を遅くしますが、一方で手ブレも生じがち。そこでISO感度を上げることで手ブレを抑えることができます。
設定方法について
「一般の方は手振れが気になる場合が多いので、『シャッター速度』を1/125に設定、これを自分の指標にするのがいいと思います。その後に『絞り』でボケ具合を調整。最後に『ISO感度』。思ったより暗いようならISO感度を上げる、明るければ下げる。最初の2つを手動で、最後に残るISOを自動調整にしておくのもひとつのやり方ですよ」、との高木さん談。
何を撮るか?(良い構図とは)
次に、「構図」についてプロの知識を共有したいと思います。
主題を置く位置によって、仕上がりが大きく変わってきます。まず抑えておきたいのが「3分割構図」。画面の縦横をそれぞれ3等分して、その縦横の線が交わった点、もしくは3等分した線上に撮影したいポイントを置く撮り方です(下図)。これを意識すると、「まとまりのある構図になる」のだそう。
他の構図パターンとして、下記をご紹介いただいました。
①日の丸構図
真ん中に試写体を置く構図。
素人っぽく見える場合もありますが、主題が目立ち、インパクトの強い絵に見える特徴があります。
②シンメトリー構図
上下や左右が対称になる構図。
造形的にも美しい配置で、整然と安定感のある絵に見えます。
③対角線構図
フレームの対角線上に被写体を置く構図。
写真に奥行きを与えます。
④パターン構図
文字通り、同じものがたくさんあったり、連続して続く時にあえてそれを強調するように撮る構図。
画面にリズムが出て統一感のある写真になります。
⑤曲線構図
奥行を表現するのに最適な構図。
流れを感じさせる写真になります。
⑥放射線構図
画面に広がりを与える構図。
まとまりのある写真になります。放射線の中心をどこに置くかで写真の印象を大きく変えることができます。
⑦トンネル構図
トンネルの中から外を見ているような、視線の集中を作りやすい構図。
明暗差があると効果的です。
どんなカメラがオススメ?
カメラを新調しようと思い立ったときのことを考えてみましょう。店頭にはとにかくたくさんの種類のカメラが並んでいて、何を買っていいか…迷ってしまいますね。そこで高木さんに聞いてみると…「何を撮りたいか、それ次第です!」とのこと。
たとえばキャノンはマゼンタ(赤紫色)が綺麗に出る特徴があり、スタジオなどの室内撮影に良く、ニコンはグリーンの発色が綺麗なので屋外の撮影が多い場合に適していて、富士通は全体的に性能が高く、最近評価が上がっているソニーは肌感が綺麗に出る、と、こんな風。
気軽に持ち歩きたいニーズに応えるとすると、キャノンの「EOS Kiss」がおすすめとのこと。カメラの心臓部とも言われる大切なパーツである「センサー(撮像素子)」の性能が良いのだそうです。
参加者のコメント
- 公私共にとても役に立つテーマで良かったです!
- 目的に合わせた設定の仕方、構図のパターン、光の当て方による雰囲気の違いが参考になりました。
- 絞り、シャッタースピード、ISO感度の3要素のバランスについて理解が進みました。
- 利き腕と頬の関係や、目の大きさと対角線の話など、とても興味深かったです。
原田さんによるグラレコ
高木さん、ありがとうございました!
(山口)
小室の感想
私事ですが、私は学生時代に写真館で4年間アルバイトしてたり、新卒で勤めた先が広告写真制作会社だっりしたこともあって、「写真撮影」については一般の方より比較的経験があるほうかなーと、ちょこっと慢心していましたが、(当然ですが)やはりプロフェッショナルは知見・経験の積み重ねがハンパなかったですね。基本のお話メインでしたが目からうろこばかりでした。
最近は以前よりさらにカメラの性能が向上しており、初期設定やアシスト機能によって、そこそこのクオリティは担保できるようになってきてはいますが、やはり成果物の品質向上には、しっかりと基本を抑える必要があるな、と、初心に返った次第です。
そして、自分の腕で撮りきれない状況になったら、予算を組んで高木さんにご相談ということで(笑)。